ブログ|JIZAKE漁火

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お湯のお湯割り

飲食店に限らずモノづくりの現場ではミステイクはつきものですが、大企業の工場ではそういった人為的なミスが起きないよう対策が施されている。作業者の教育はもちろん作業マニュアルの作成、複数の目によるダブルチェック、果てには人間そのものは信用できないからと、機械化による無人オートメーション。

零細な飲食店ではそうはいかない。個人の力量に頼らざるを得ず、しかも飲食店というのは、少量多品種生産、完全オーダーメイド、その上、受注後即仕上げが要求されるのである。無人の機械化なんていうのはどこかの未来社会の夢物語同然である。

そんなことだから、飲食店ではミスは日常茶飯事で、そういうものだと認識しておいて事前に起こりうるミスを想定しておかなくてはならない。だから新潟の居酒屋で起こった洗剤提供の事故も、一升瓶に洗剤を詰め替えた時点でアウトであり、そりゃそんなことしたらそうなるだろうとしか思いません。

よくありがちなのは、塩と砂糖の間違い。なにしろこれを間違えると料理の味に致命的な結果を生むのでこれには気をつけたい。一番いいのは、他の容器に移し替えないこと、置き場所をそれぞれ違う場所にすること。小麦粉と片栗粉も同様です。家庭なんかでも見栄えや使いやすさを優先して、他の容器に入れ替えて2つ揃えて置きたくなりますが、これが間違いの元になります。

分かるように容器に名前を書いたラベルを貼ればいいだろうと思いますが、実はこれが一番怪しい。家庭の食卓でも同じ調味料入れに醤油とソースを入れ、名前も表記したのに間違うという経験はありませんか。間違えないためには違う形の調味料入れにする。それが不恰好で嫌なら、名前を表記する代わりにカラーテープでも貼って色で見分けるようにするといいでしょう。最初は混乱しますが、習慣化されれば絶対に間違わなくなります。つまり理屈に訴えるより、感覚に訴えたほうが間違いは少なくなるのです。

こんなことを言っておきながら、店ではこれまでミスは少なからずあります。致命的なミスならお客さんに謝罪して作り直し、味にほとんど影響ない小さなミスなら自身で反省と。

今までで笑い話にもなる大きなミスと言えば、焼酎のお湯割りでしょう。私がグラスに焼酎を入れたと思い込んで、母がポットのお湯を空のグラスに注ぎ提供したことがありました。つまり、お湯のお湯割り、ただのお湯です。不幸にもそれが当たったお客さんは、グラスを手に持ったとき、「熱っ」と言いました。その一言ではっとしました。通常室温の焼酎に熱湯を注げば、ほどよい熱さになるので、こちらが間違ったのではないかと。

そのお客さんに尋ねました。ひょっとして焼酎入れ忘れたかもしれないと。確認したところその通りでした。ちなみにそのお客さんは、「いつもより熱いな」としか思わなかったそうです。

こんな笑えるミスならともかく、健康を害するようなミスだけは避けたいものです。

 

 

夏季限定 ラタトゥイユはクサいメシ?

毎年夏季にしかメニューにない料理、ラタトゥイユを紹介します。

この言いにくい名前の料理、もともとはフランスのプロヴァンス地方の料理なんですが、すっかり日本でも市民権を得て有名になりました。

作り方は、トマト、ナス、パプリカ、ズッキーニ、ニンニクなどの夏野菜を一つの鍋で炒め煮するというもの。水は一切加えず、野菜の水分だけで煮るため、野菜の旨味が凝縮した大変おいしい料理です。熱くても、冷たくしてもおいしく、肉料理のつけ合わせにも使えます。

おいしく作るコツは野菜を適切な大きさに切って決して煮過ぎないようにし、個々の野菜の食感を残すこと。それとトマトは丁寧に皮をむき、種も取り除くことでしょうか。乱暴に作ると、どろどろとしたただの野菜の「ごった煮」と化してしまいます。

さてこのラタトゥイユ、安い食材で手間もかからず作れるため、ヨーロッパでは軍隊や刑務所で出される料理の定番だったそうです。要するにフランス版「クサい飯」。想像するに前述の「ごった煮」が出されていたんでしょう。

冷たく冷やせば、日本の暑い夏にはピッタリの爽快な料理です。店では以外と男性に好評ですよ。

ドミノ倒しの最初の一手

消費税増税法案が衆議院にて可決されました。こと商売をやっている身としては、インパクトの大きい問題です。果たして実際に消費税が上がる数年後は、どんな世の中になっているのでしょう。景気は上がっているのでしょうか。

個人的な事情を抜きにして、今回の大きな問題は、消費税を上げるかどうかという点ではなく、民主党が分裂するかという点でもなく、民主党のマニフェストに書いてないことを国民に断りもなくやった、という一点に尽きると思います。

飲み屋のような公共の場で話す話題として、政治、宗教、野球は3大御法度なんですが、それでも胸にモヤモヤとした憤懣があるので、こうして言いたくもなります。

民主党が政権となった選挙で、これは国民との契約ですと掲げたマニフェスト。書いてある事をやろうとしたけどダメだった、道半ばであるというなら百歩譲れるとしても、やらないと言ったことをやるのは契約違反以外の何物でもありません。あのとき、民主党に一票を投じた人は、消費税を上げることには了承した訳ではなく、マニフェストを読み、政治を変えて欲しいと思って投票したはずです。

こんなことがまかりとおるなら何でもアリです。次の選挙で、立候補者は当選できそうなエサ(マニフェスト)を掲げて当選する。→任期期間中、マニフェストに書いていない政策を行う。→ますます政治不信になる。→投票率は下がる。→組織票で当選できるようになり、特定団体との癒着が増える。アンフェアで金にまみれた古い政治の再来である。

今回の一件は、こうした民主政治崩壊スパイラルというドミノ倒しの最初の一手に思えてなりません。

消費増税に賛成の人は、国の財政再建のためにはやむなしと言いますが、個人的には消費税をいくら上げようと(30%、50%でも)、財政再建に向けて効果的とは思いません。この理由と根拠はまたいつかどこかで。

 

 

 

天然でんねん

梅雨まっさかりのこの時期になると、毎年、鮎の塩焼きをメニューに加えます。

この鮎は正真正銘、天然ものの鮎です。なぜならうちの父親が周山(上桂川)で釣ってくるからです。

6月の半ばごろ、鮎釣りの解禁に伴って、メニューに並ぶ訳です。

さて、この鮎はご存知のように「友釣り」という独特な方法で釣ります。鮎というのは、縄張りを作り、他の鮎が近づくと防衛手段として暴れて他の鮎を追い出そうとする習性があります。

これを利用して、体の周りに釣り針をつけた「おとり」の鮎を、鮎がいそうなところに泳がせて、暴れる鮎を針に引っ掛けて釣る方法です。昔はたくさん釣って帰ってきたものですが、最近は1日に数匹しか釣れないときもあります。

思うに毎年、毎年同じ手口で騙されて、いい加減鮎の方も気がついてるんじゃないでしょうか。だんだん疑い深い性格になって、その手には乗るかと。

しまいには、進化の過程で、縄張りに敵が来ても、話し合いで解決するような友好的な性格になるかもしれません。そもそも、もし鮎に意思伝達手段があるなら、どうして「おとり」の鮎が仲間に警告を発しないのでしょう。「僕はおとりだよ。騙されちゃいけないよ」って。

まあ、そんなことで、天然の鮎というのは釣るのが難しく、それだけ貴重てことです。さすがに毎日、釣りに行く体力もなさそうで、しかも天候に左右されますので、常にメニューにあるわけではないです。もしあった時はラッキーですので、是非ご賞味下さい。

 

山崎・白州ハイボール

はじまりましたねえ、サッカーW杯最終予選。もちろん、試合時間は営業中なので、リアルタイムでは見られず、家に帰ってからの録画観戦ということになります。

サッカーに限らず、毎週の競馬などは、録画観戦になるんですが、これがちょっとひと苦労。結果を知ってから見たのでは、知らずに見るのに比べ、感動も8割減てところです。だから結果を知らないようにすることに神経を尖らせています。

まず、家に帰ったころにやっているテレビのスポーツニュースは見ない、ネットのポータルサイトは見ない、携帯に配信されてくるニュースは見ない。テレビを点けたときに試合のシーンが映らないよう、チャンネルを変えてからテレビを消すなど。

このように「見ざる」の方は自らの努力でなんとかなるのですが、「聞かざる」の方は厄介である。「見ざる」は徹底しているにも関わらず、帰ると父から、結果を聞かされたり、お客さんの会話からふと耳に入ったりする。

このような経験をされている人は結構おられるんじゃないでしょうか。例えば、仕事時間中にW杯の試合が重なって、帰ってゆっくり見ようと思っていたのに、職場の同僚から結果を聞かされたり、中には試合の経過をリアルタイムで実況されたりするのは、よけいなお世話である。

そんなことなら、前もって周りの人に、結果は言わないでくれとお願いしておけばいいんですが、サッカーの場合「いい試合だった」とか競馬の場合「すごく荒れた」とか、一応、結果は言ってないからと配慮してくれているつもりでも、全然配慮になっていない。

そんな短い感想ワードだけでも結果が読めてしまうし、何も言わなくても表情だけで読めてしまうときだってある。だいいち、君が知らない情報を俺は知っているという優越感がシャクにさわるのである。

そういう訳で、これから最終予選が続くし、オリンピックと大きな試合があるのでこの苦労はしばらく続くのですが、みんな寝静まった頃にやるヨーロッパ時間の試合は、リアルタイムで見られる有利さがこちらにはあるんでね。

さて、本題です。サントリーから山崎、白州のノンビンテージ品が発売されました。山崎、白州と言えば、10年、12年といった貯蔵年数を制限していたのですが、この新商品は年数の垣根を越えてブレンドしたもので、よりリーズナブルなものになっています。12年ものにはさすがに劣りますが、それでもシングルモルトの個性的な味わいは、しっかり表現されています。

この夏は角ハイボールよりも高級な、山崎、白州ハイボールを一度お試しになってはいかがでしょうか。

 

憂鬱な季節

日中は半袖でも大丈夫なほどに、日増しに暑くなり、これから蒸し暑くなっていく嫌な季節になってきました。毎年、この時期は憂鬱な気持ちになります。

というのも、毎年我が家には、あれが出るんです。

それは、決まって蒸し暑い夜、どこからともなく、足音ひとつ立てず、部屋に現れるのです。昨年は最悪にも、ベッドで寝ているとき、ふと気付くと足元に現れたことから、しばらくは軽い不眠症に陥りました。

我が家にとって、それは平和な日常をかき乱し、恐怖という名の奈落の底へと引き落とす厄介な存在で、毎年悩まされています。

それが現れた場合、手を合わせ、目をつむり、念仏を唱えたとしても、退散してくれる訳にはいかず、いつまでも家のどこかで彷徨い続けるので、落ち着いて眠れません。

すーっと我々の視界から消えるように逃げたとしても、一家総出でそれの居場所を探します。見つけたら、即座に、この世からあの世へと葬り去らなければなりません。

それはへたに刺激させると、無数の触手を動かし、鋭い牙をむき出しにして、我々生身の人間に襲い掛かり、実際に危害を加えるので、扱いには注意が必要です。

この時期に先だって、我が家では、家の周囲に白い粉を撒くという、魔除けのような儀式を行います。これは確かに効果はあるのですが、完璧ではありません。中には、人間の英知を結集させたこの白いバリアーを、あざ笑うかのようにかいくぐり、侵入してくるツワモノがいます。

こうしてパソコンに向かっている今でも、ふっと後ろを振り返ったら、それが私を見つめていた。なんてことも思わず考えてしまいます。

あぁ憂鬱です。我が家には毎年出るんです。それが…

ムカデが…

 

 

カリカリチーズ

久しぶりの投稿になります。

こと5月に入ってからは、毎日忙しく、オーダーに追い立てられる日々が続いており、体力も消耗ぎみ。家に帰ってからは、まずいことにスカパーでやってた「まどかマギカ」の一挙放送を見てしまってからというもの、その陰鬱ムードに脳みそがおかされ続けています。

このように、ここ1,2週は心身ともにダウナー状態から中々抜け出せず、ふと鏡を見ると、首すじに魔女の口づけが、なんてことにはなりたくないので、なんとか気をとりなおすべく、メニューの紹介をしたいと思います。

こどもから大人まで、大変好評で、お酒のつまみとしてピッタリなのが、カリカリチーズです。これはその名の通り、チーズをカリカリに焼き上げたものです。よくグラタンなんかで器の端っこの方に、焼けたチーズがこびりついているのがあるじゃないですか。あれっておいしいですよね。あれをメニューにしたのがカリカリチーズです。

作り方は大きめのテフロンコートのフライパンにスライスチーズを並べて焼くだけです。

こう聞くと簡単そうに思いますが、やってみるとこれが意外と難しいんです。普通にやるとチーズがどろどろに溶けてしまって、見るも無残な料理になってしまいます。

ポイントは火加減。フライパンが冷たい状態からチーズを並べて、ふたをして、ごく弱火でじっくり時間をかけて焼くと写真のようにきれいに出来ます。火が強いとどろどろになったり、焦げ臭くなるので火はできるだけ弱くします。片面が焼けたら、へらなどでひっくり返してもう片面を焼きます。だいたい20~30分かかります。

あとチーズの種類もポイントでしょう。チェダーなどの固めのチーズを使います。

似たようなもので、グリコが出している「チーザ」というお菓子がありますが、あのパッケージの表記でいえば、このカリカリチーズは「100%」ということなので、あれよりも濃厚なチーズお菓子といえます。

このように家庭でもできるので、ぜひ挑戦してみて下さい。尚、作るのに時間がかかるので、お店で注文されるときはお早めにお願いします。

 

外国人客 悪戦苦闘記1

ときどき、近くのゲストハウスでの紹介もあり、外国人観光客が来られます。

毎日接する訳ではないので、英語が耳に慣れなくて、毎回苦労することになってしまいます。

まず第一に英語のメニュー表を用意していないので、たいていはこちらのオススメを3,4品か提供することになります。英語のメニューを作りかけたこともあったんですが、途中で嫌になってしまってそのままです。

海外で外食されたり、国内でも本格フレンチなんかで経験がある方もおられるかと思いますが、あの長ったらしいメニュー名にウンザリしたことはないでしょうか。例えば、ひややっこを正確に英語でメニュー化すると、chilled Tofu with ginger , dipping soy sauceでしょうか。日本語では「冷奴」の2文字で事足ります。漢字文化偉大なり。

ちなみに豆腐はTofuで通用しますし、うどんもUdonで、刺身もSashimiで結構通じます。「長芋の明太子グラタン」や「豚の角煮おかゆソース」なんか英語にしようとすると発狂しそうであり、うまく英語にできたとしても、やたら冗長なメニュー名となり、ミステリアス極まりない料理に写るはずです。

それから日本酒の銘柄を全てローマ字にしてみると違和感ありありです。「Tuki no Katsura」「Hakkaisan」そうでしょ。「Kubota」なんか企業名になってしまいますし。

そういうわけで、飲みもの、料理は口頭で伝えることになり、おすすめの料理を出すにあたって、まず「生の魚が食べられるか」を確認することになります。ほとんどの方が刺身が食べられますし、箸の使い方も上手なんですが、日本人なら誰でもできる、絶妙なバランスで、わさびを適量つけ醤油を適量つけて食べられる方は少ないですね。わさびが多すぎたり、醤油をべっちょりというのが散見されます。

おすすめする料理ですが、「お造り盛り合わせ」の他に「手羽先餃子」「ぶりかまのスモーク」「牛しゃぶサラダ」「揚げ出し豆腐」なんか無難でたいてい満足頂いています。間違っても「馬刺し」はお出ししません。

さて、合い間のフリートークですが、これもたいがいパターン化されていて「どこの国から来たか」「日本へ来て(京都へ来て)どれくらいか」「どこの観光スポットへ行ったか」といったところです。かといってペラペラしゃべれる訳でもなく、文法も無茶苦茶で後になって赤面することも多く、適当な単語をつなげて何とかなるもんです。下手にきれいな英語を予習して対応すると、その後マシンガンのように返ってくるので、「私は少ししかしゃべれませんよ」ぐらいに思わせるのが、下手なりのコツです。

まあ今まで、ベロンベロンに酔っ払って悪態をついたりするような人は皆無なので大いに助かってると思います。今後も良き旅の思い出となるように、京都にいい印象をもてもらうようにお世話したいと思います。

 

♪はくつ~る♪

おすすめの日本酒の紹介です。

白鶴といえば、灘の有名すぎる大手蔵ですが、その白鶴からコアな日本酒ファン向けに発売されるのが、「荒駒」です。

純米酒でしかも生原酒、酒米には白鶴が独自に開発した「白鶴錦」を使用するというスペックもさることながら、発売日に蔵元から直接、店にクール配送してくるという手のこりよう。

さっそく試飲してみると、生酒独特のフレッシュな甘酸っぱさが感じられ、原酒ならではの濃い、しっかりとした旨味がおいしいです。

料理にも合いますが、あてなしで、これ単独でもいけそう。原酒なんで度数は少し高めです。

期間限定、無くなり次第終了ですのでお早めに。

雨後のタケノコ

日に日に暖かくなり、自宅裏の竹やぶにもタケノコが出てくる季節になりました。

また今年もタケノコづくしのメニューを始めます。

木の芽和えや若竹煮、天ぷら、鶏肉との冶部煮(写真)の他にも試行錯誤しながら、研究中ですので、いいのができたらメニューにのせたいと思います。

個人的には天ぷらが一番お気に入りです。